子どもがマンガしか読まなくて困った、マンガは子どもの成長には好ましくはないなどと親の心配は尽きないことでしょう。そこでマンガとの付き合い方について考えてみます。
マンガの長所は話の筋が図画を見れば直感的に読み取れることです。一方で欠点は文字で表現されている世界を正確に把握するという抽象的な思考過程を必要としていないことです。
文字の世界を理解するには高度に発達した知的能力が必要です。一方で図画で描き出された世界は単なる日頃の視覚情報の焼き直しですから、日常的な能力だけで十分に対応が可能です。ヴィゴツキーもそんなことを書いていた記憶があります。
漫画しか見ないでいると、具体的な事象を抽象化して普遍的に考えるという概念的思考力が育たないままになってしまいますから、例えば人間関係を「ボクとキミ」などという子どものような現実的関係でしか捕えられなくなります。これがマンガしか知らないで大人になることの問題点ではないでしょうか。