マレーネ ディートリヒはドイツ生まれの女優そして歌手ですが、1930年代にアメリカに渡ったあとナチスを嫌ってそのままハリウッドで活躍しました。内に秘めた強い信念をうかがわせる理知的な表情と端正で面長な顔は、おそらく間違いなく20世紀を代表する美女のひとりです。
彼女を有名にした歌は『 Lili Marleen 』という反戦歌ですが、私は彼女の唄う 『Ich hab' noch einen Koffer in Berlin 』の方が好きです。これは「イヒ ハープ ノホ アイネン コファー イン ベルリーン」と発音します。大切な母を残してきた愛するベルリンの町への慕情を切々と歌い上げて伝わってくる情感から、間違いなく聴く者の目頭を熱くします。
誤解のないようにしたいのは、彼女はベルリンの町を唄っているのであって祖国を唄っているのではありません。この歌の重要なポイントですので思い違いをしないでください。
ところでベルリンの町はドイツではもっとも垢抜けした町です。ここはまさにドイツだと感じさせる町は多いのですが、まさにヨーロッパだと感じさせるドイツの町はベルリンしかないと私は思っています。またベルリンには日本のデパ地下に負けない場所があります。現地を訪問されたら是非当地のデパ地下もお忘れなく。