私は近頃はほぼ毎日キャンパスの人気のない場所でネズミを探し回っています。以前は超高性能放射線測定器 i-FKR-254 を携えて放射能のホットスポットを特定していました。その前は下水道のゴキブリの生態などを調べていました。
中でも講義の脱線ついでにゴキブリの生態について話をすると、学生さんは睡魔から覚醒して活気を取り戻してくれます。しかし、ここでは脱線をせずにネコとネズミの話をしたいと思います。
かつてヨーロッパではペストが大流行して何度か文明の危機に直面しました。ペストはネズミのノミが病原体となるペスト菌を媒介して流行を引き起こします。私はネズミはネコのいない地域を伝って旅をしてペスト流行をアジアからヨーロッパに伝搬したと思っています。
ネコはネズミにとってはもっとも恐ろしい存在で天敵です。そのために大切な穀物などの食料をネズミに食い荒らされないように人々は地域でネコを飼って大切にしていました。
また脅威となりつつあるセアカゴケグモなどの毒クモ類もネコが綺麗に退治してくれます。キャンパスには一つもクモの巣がありません。クモは地面を這って木から木へ巣を張ります。ネコに見つかればお陀仏ですから、ネコのテリトリーではクモは絶滅です。
ところが今日の都市部ではネコが完全にペット化して室内飼いとなりノラ猫はいなくなりました。ノラ猫のいる日常風景がなくなると糞害や猫嫌いの人が増えてきてネコを強く忌避する社会になってしまいました。そしてネズミや毒クモの繁殖が問題になってきます。
最近では中国の奥地などでは殺鼠剤の過剰使用から薬剤に耐性を獲得したスーパーラットが誕生繁殖し、病原体となるウイルスを媒介して犠牲者も出ていると報じられています。
東京の都心ではいたるところで大型のドブネズミなどを目撃しますが気づいていますか?こんなに都会でネズミが繁殖してしまった以上は、地域ネコという発想をもう一度評価すべき時が来ているように思われてなりません。
あっ言い忘れるところでしたがキャンパスには今までのところは小型のハツカネズミさえ一匹も発見できていません。とにかく大学に嫌われたネコちゃんありがとう!