私の上司は金太郎飴ではいけないというのが口癖でした。金太郎飴というのは何処から切ってもいつも同じ表情の顔が出てくる飴に譬えてみんな同じ考え方をしている集団を表現したものです。日本人は金太郎飴などと個性のない人間の集まりを揶揄する時に使われます。
個性は他者との相違点というだけの単純なものではないと思います。もっと人間の内面に深く触れているものの中でも特に個を際立たせる要素を語っているのではないでしょうか。
例えば背が高いのは特性であり個性ではありません。会社に特色はあっても個性はありません。優しいのは個性かと問われればイエスともノーとも言えます。優しさは徳性でもあり人間としての基本的価値として重要な一要素ですから、個性とはちょっと違う気がしないでもありません。
ファッションンも個性とは言い切れないものがあります。内面活動の具体化だと考えれば個性とも言えます。しかし一般的には個性的なファッションと「的」がつきます。失礼かもしれませんが有名ブランドで全身を完璧に固めたものを個性とは言いたくありません。
また日本人であることは属性でありやはり個性ではありません。日本人として恥ずかしくないのかなどと言われそうですが、この表現は個人を集合名詞的にひとくくりにしていて個性の議論からは少し飛躍しすぎています。とにかく個性を語るのに日本人、社員、家族など集合名詞に惑わされてはなりません。
そろそろ訳が分からなくなってきました。結局は個性とは個人を端的に特徴づける内面活動の総体であると言ったら、それこそ逃げ口上だとの誹りを免れそうにありません。どうも何も分からなくなってしまいました。