政治家などが異性関係を暴露されて失脚することがありますが、私はこれは国や組織を堕落に導くだけで決して賢いやり方ではないと思っています。
上司を追い出すにはそれなりの合理的な根拠が必要です。上司と告発者は仕事という土俵の上でがっぷりと四つに組んで問題点を明らかにすべきであり、個人的な醜聞を持ち出すのは両者の対決が土俵外に持ち込まれたも同然です。
つまり仕事上の追求なくして失脚させたのでは、その上司がどのような問題を抱えていたかの分析が不十分のままで終わってしまいます。さらに下品な個人非難合戦の体質が組織に定着しかねません。あくまでも仕事上の問題があるから上司を辞めさせたいのに私生活にその理由を求めるのは卑怯でもあります。
ある外国の政治家が家庭外で子どもを作ったことについて日本人記者が市民に訊ねたら「それはめでたい!」と言われたとびっくりしていたようです。人を私的事由で地位から引きずり降ろすような社会は案外まともな社会ではないかもしれません。