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2013年3月12日火曜日

行政の性善説の弊害例 日本が批准していないILO週40時間労働条約を知っていますか?

 日本国憲法の第27条は勤労の権利と義務を謳っています。これはGHQから提出された憲法草案には「働く権利」としかなかった条文案を制定過程において誰か知恵者が土壇場でそっとすり替えたのでしょう。

 このような勤労条項は諸外国にはあまり見られないものですが、お隣の中国の憲法にも謳われています。しかし中国憲法には休息の権利もありますから少し様相が違います。

 ところで日本は労働の週40時間制を定めるILO第47号条約は批准しておりません。

 これは日本の労働環境を考える上でとても重要なことなのですが学校教育では一切触れられることはありません。私はこれまでずっと必ず触れてきました。及び腰ながらも過労死では時々騒いでも、ILO第47号条約などの重要な労働関係のILO条約はほとんど批准していないことに関しては、どうしてかマスコミも教育者もみんな触れたがりません。

 では今や常識である労働の週40時間制を日本が国際条約として認めていない理由は何でしょうか。それはもし批准すれば労働組合などがILOに条約違反で訴えることが可能になるからだと推察します。もし国際機関に訴えられたら日本の国際的信用は台無しです。かつてのように労働者を搾取したダンピングだと世界中から猛然と非難を浴びるのは必至です。その国際的インパクトは中国の矛盾どころの比ではないでしょう。

 これがいわゆる官僚の性善説によるザル行政の典型的な一例です。総論的には労働基準法を制定しておいて一応は国際的な体裁を整えながら、各論となる実際の現場では守らなくても一向に構わないようにできています。そして行政は性善説とうそぶいて大きな問題として世論が騒ぎ立てない限りは観て見ぬふりです。

  ただしこうした矛盾をなくそうと行政や企業だけを責めても何の足しにもなりません。私たちも自分たちの労働環境はおかしいと腹の中では思っていながら見逃してきたからです。世界の経済大国になった日本の経済がそういう歪んだ構造をエネルギーに変えてがむしゃらにフル回転して成長してきたという恐ろし事実に眼を向けようとしませんでした。

 私はある程度の超過勤務は仕方がないと考えています。サービス残業などとケチなことを言わずに、正当な報酬である残業手当がきちっと支払われるようになれば、きっと日本人の効率意識は高くなっていくはずです。その結果として労働環境も改善されて残酷な過労死などはなくなっていくことでしょう。

 ILO条約の問題は官僚が取る性善説の弊害のほんの一端です。日本の社会はこの種の弊害のクモの巣にすっかりぐるぐる巻きにされており、余程腹をくくって立ち向かわないと脱出できないと思われます。