私の大切な教え子のなかに1組の留学生夫婦がいます。彼らは私を慕って私の大学に来てくれた人たちの一部です。
彼らはもちろん私の大学がいわゆる偏差値ランクキングからいってどの位置にあるかは無関心でした。とにかく日本語を習って卒業できたらアメリカのトップ大学院で勉強を続けたいという固い意思を持っておりました。
二人は日本に来て知り合い在学中に親しくなって結婚しました。卒業するまでに2人の子どもも授かりました。日本語を習う勉強上の苦労と子育ての苦労を立派に克服して優秀な成績で卒業してアメリカに渡りました。
彼らはアメリカでも地道に努力を重ねて足掛け10年かけて夫婦で交互にハーバード大学の大学院を修了しました。日本では私がお金を融通したくらいですから家族の支援を得られない彼らが学費をどう工面したかは知りません。
私がこのケースから考えることは大学は何も東大だけではないということです。先を見据えた具体的な目標を持ち、ぶれぬ固い決意と地道な努力さえ忘れなければ先はそのうちに開けてくるということです。
私たちは東大を頂点とした6-3-3-4年制とその後の就職という途切れのない固定観念に囚われ過ぎています。若い人たちは日本の性急な学歴主義から解放されてもう少しおおらかになって長期的視点から世界に羽ばたいて欲しいです。
最後に就活はめげることが多くて精神的に大変でしょう。しかし自分の逆境を恨む時間があるなら、その時間を努力にまわして先を見てみましょう。彼らは一度も自分の逆境を嘆くようなことはせず心配になるほど前向きでした。