私たち日本人が外国語をマスターしたい時に日本では勉強の環境を整えることはなかなか難しいものです。ですから私の場合は時間節約のためもあってフランス語はパリに行って、ドイツ語はケルンで勉強しました。
ところで必ず現地に行かねばならないかと言えばそうでもありません。まず習うより慣れよといわれますが、これは確かに至言です。そこで私の経験から何に慣れたらいいのかということをまずはお話しします。
慣れなければならないのは聞くことです。赤ちゃんと同じ要領でとにかく聞いて聞いて聞きまくることが大切です。その時に忘れてならないのは分かるか分からないかを意識しないことです。つまり分かろうとしないで聞き流す必要があります。これが初心者に必要な極意のひとつです。この訓練に一番いいのは目的とする外国語のテレビを見まくることです。
個人差もありますが約1000時間(一日に6~8時間で3~4か月)くらい聞き流しをしていますとある時点から会話の単語が分かれて聞こえてくるようになります。これが外国語学習で最も大切なビックリ体験です。こうなれば勉強はもう道半ばまできたと考えても構いません。
こうなった時点からは発音もしっかり身に着けなければなりません。これはICレコーダーを使ってネイティブの人の発音を意味を考えずに繰り返し繰り返しまねて正確さをチェックすることです。この時のテキストはいわゆる単語帳で構いません。ただ単語帳を使う場合は日本語を見ないで意味を考えずに発音だけをまねてください。しばらくすると意味は分からなくても単語の発音がどんどん記憶されてくるのが実感できます。
単語帳の単語は本当は場面ごとに分類してあるものが理想的です。具体的に言えばたとえばレストランに行ったときに使用する単語とか駅で切符を買って列車で旅行するときとか、場面ごとにまとめてあるといいでしょう。私は自分で単語帳は作りました。こうすると単語数は1000語あったとしてもあまり負担にはなりません。この発音訓練はおよそ300時間(40~50日)もあればすっかりマスターできるはずです。
さて単語の発音が正確にできるようになったら頭に入っている単語の音と日本語の意味をつなげる訓練が必要になります。これは単語帳を発音訓練とは逆に使用して、日本語の意味を見ながら外国語の発音ができるようにします。ここで非常に大切なのが、単語帳にある日本語を声を出したり頭の中で読んだりしないで見るだけで意味を直感で理解して外国語で発音できるようにすることです。絶対に日本語を読んではいけません。
この時に手も使って単語を書く練習をすれば単語の綴りも暗記できますが、私の経験ではまずは聞くこと話すことに集中したほうがいいと思っております。筆記や綴りの練習はまずは日常会話が十分にできるようになってからにしてください。それはあとあと文字に頼ろうとする癖がついてしまうのを防止するためです。とにかく言葉は聞くこと話すことから始めるのが鉄則です。
さあこれで日常会話は何の問題もなく対応できるようになるはずです。もし時間が集中的に取れない場合には一日あたりの時間を半分にして試してください。外国語をひとつこのようにマスターすればあとは一つでも二つでも同じです。
私の3月1日の「外国語の勉強で大切なこと①」も参考になさってください。