日本でも血液を利用した胎児の出生前検査が始まるようです。沈滞気味の産科医学界は新しい巨大医療需要を何としてでも手にしたい気持は分かりますが、私なりに疑問点を整理してみました。
まず法的な視点では母体保護法との関係です。
母体保護法 第三章 第14条(医師の認定による人工妊娠中絶)
一 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害する
おそれのあるもの
もし出生前検査で何か問題が見つかって産みたくないという決断をした妊婦がいて人工妊娠中絶を希望した場合、どういう理由で合法的な中絶ができるのでしょうか。
戦後1950年代に年間100万件を超える届け出中絶がありました。1949年に優生保護法が改正されて世界的にも珍しい経済的な理由でも中絶が可能になったため、裏で行われていた中絶が一気に表に出てきて統計値を押し上げたせいでもありました。
今日では理由ははっきり分かっていませんが届け出中絶件数は20万件台に減少してきております。しかし裏で行われている中絶件数はその2倍とも3倍とも言われます。まさか出生前検査の中絶を裏に回すわけにはいかないでしょう。
次に懸念されるのは中絶の医学的侵襲による母体の健康障害です。特に初産の妊婦が人工妊娠中絶を受ける場合の危険性については医学界はしっかり説明できなければなりません。また出生前検査で複数回にわたって問題点が検出されたときにたびたび中絶を実施することも母体にとっては負担が大きすぎます。
これらの疑問点に対して医学界の誠意ある対応を求めます。