野球の試合を思い描きながらなぜ攻撃は最大の防御であるか考えてみます。ただ話を分かりやすくするために下記の二つの条件を前提にして先に進みます。両者は表裏の関係にあるとも言えますが、とにかく話はこれらの事実を前提条件にしています。
1)人間はかならずミスをする。
2)知識は完璧ではありえない。
まず投手力一本やりのチームでいきます。どんなに完璧に防御しても防御だけでは得点は得られません。ここで得られる最高の結果は引き分けです。もし防御が少しでも破たんすれば結局は攻撃力不足から僅差で負けです。時には勝ちもあるでしょう。
次に攻撃力重視のチームでいきます。この場合は攻撃がうまく機能すれば僅差で勝てます。つぎに可能性の高いのが引き分けか負けでしょう。
こうして考えてくるとあとは相手との実力の差によって結果が左右されることになります。結果が明らかなのは相手チームが弱くて勝つ場合と強くて負ける場合です。ですから相手チームが同じくらいの実力の場合だけを考察すればいいことになりますから、それを確率の高い順序から予想される結果を整理してみます。
防御重視型(投手力で勝る。あとは互角か不明) 引き分け⇒負けか勝ち
攻撃重視型(打撃力で勝る。あとは互角か不明) 勝ち⇒引き分けか負け
さてこの結果から考えると攻撃力重視型のチームの方が相手チームとその他の要素で実力が拮抗している場合には有利であることが推察されます。
この流れの典型的な具体例が2011年のソフトバンク対中日の日本シリーズの決戦でした。両チームが持ち前の特徴を発揮して相譲らずにとうとう第七戦までもつれ込んでしまいました。そして結局は攻撃力に勝るソフトバンクが覇者となりました。とにかく近年にない見ごたえのある素晴らしい日本シリーズでした。
また王選手と長嶋選手の活躍した時代の読売巨人軍が強かったのもこれで説明できます。読売巨人軍はON砲を擁して1965~1973年まで9連覇を果たした。これはまさに圧倒的な攻撃力のおかげでした。
こうして考えてみるとビジネスでも勝ち抜くためには手堅さも大切ですが攻撃力(創造力、開発力)を緩めぬ攻めの経営が大切でしょう。私のひとつの仮定からの推理ではありますが示唆に富んだ考え方だと思いませんか。特に中小企業は他企業と手を組んで新製品の開発力を高めるしか生き残れません。
日本は創造力や発想力などを備えた人材を育成しないときっと競争に負けるでしょう。勝ち残るにはまず教育が変わらねばなりません。もう東大を頂点とする旧式学力の記憶力と思考力だけで人間を評価しているアナクロ思考はグローバル化社会では役に立ちません...と思います。