NHKクローズアップ現代で国民栄誉賞松井秀喜選手を特集して作家伊集院静氏がコメントをしておりました。松井選手の生き方が率直に伝わってくるもので伊集院氏のコメントにも感心しました。ただ私の悪い癖でひとつ気になるところがありました。伊集院氏が「人生は辛い苦しいを味わうことがまっとうな人生」と語っていたことです。
松井秀喜選手は引退の記者会見で「命を懸けてきたプレーができなくなって云々」と語ったようです。彼がそこまで打ち込めたのはきっと野球が好きで好きで仕方がなかったからではないでしょうか。しかしイチロー選手も野球が好きで仕方がないはずですが、辛いことの方が多いと語っていたように記憶しております。
この辛いことが多いのに好きだという矛盾の糸を解くヒントは例えば好きな人との関係にあります。私たちは恋人に嫌われないようにするためにいろいろと無理をして辛い経験をします。松井選手も大好きな野球に嫌われたくなかったのです。だからきっと辛いことのほうが多かったはずですが命を懸けてこられたのでしょう。
私は人生においては辛い苦しいは無い方がいいと思っています。しかし、恋人に対するように好きであれば辛い苦しいがあったとしてもあまり苦にはならないでしょう。松井選手、イチロー選手や伊集院氏のような人たちは、辛いを好きで覆ってしまう魔法の杖を上手に使える名人なのでしょうう。好きこそものの上手なれといいますが、彼らを見習って人生を上手に生きていきたいものです。