2年ほど前に出席した会議の一幕です。フランス人が出席しておりましたのでかねてから抱いていた疑問を投げかけてみました。
パリにはコンビニはないのかと。怪訝そうな顔をしていましたからまずはコンビニの解説をしてあげました。そして質問に納得した表情をして答えてくれました。彼の返事は「ノン」でした。パリにはコンビニはないようです。やっぱりフランス革命のような歴史的大偉業を成し遂げた国はスゴイ。
パリには昔から地域のパリジャンやパリジェンヌの生活を支えてきた個人経営の小さなお店がたくさんあります。そこは店員と客という無機質な関係を越えたどこか心の温まる交流の場になっています。コンビニがないのはそういった伝統的な生活スタイルが崩壊するのを嫌ってのことでしょうか。
パリの生活には例えばチーズ屋のオヤジさんとのチーズ談義があったり、パン屋では店のおばさんの心温まる頬笑みをもらったり、青空市場に行けば野菜作りのおばあちゃんとの触れ合いがあったりと人と人との交流がいっぱいあります。
確かにコンビニには便利で盛りだくさんのサービスが準備されています。しかし残念ながらそこには形式的な人の行き交いしかありません。コンビニには店員の顔はありますがパリで出会うような人懐っこいおじさん、おばさん、おねーさんなどいませんから心安らぐ会話は生まれません。
私はフランスでは毎朝フランスパンのバゲットを買いに行くのが好きでした。パン屋の太っちょのおばさんがにっこりして優しくおはようと声をかけてくれます。ただそれだけのことですが、それだけで毎日そのパン屋さんにいく価値がありました。
みなさん、パリを訪問したら是非とも勇気を出してそんな素朴なパリの日常にも触れてみてください。やってみると案外言葉は必要ないことに気がつかれるはずです。そしてコンビニがないのも乙なものだと思えてくるかもしれません。