人間を花にたとえてみるのはとてもいい比喩だと思います。ただ人間=花ではないことがしっかりと押さえられていないと単なるイメージソングに過ぎなくなります。
この歌の巧みさは花は美しいものだという私たちの動かしがたい固定観念を題名に活用していることです。私たちがこの題名から受ける印象はまず明るい清楚なイメージです。初めからこのイメージに誘われて歌を聴くと何となく勇気を与えられる歌です。
花はたとえ雑草であっても見てキタナイ、ウザイと思う人はいないでしょう。黒猫ディーンのいるちっぽけな草むらに春の息吹を感じさせる雑草が一斉に花を付けた時は、冬を越して黒猫ディーンたちの命が助かったという安堵感とは別に、その美しさにとても感動します。
しかしです。人間=花ではありません。植物の花とは違う動物の人間には好みがあります。ですから対人関係ではお互いを好き合ったり敵対したり無視したりします。隣の席のクラスメートが性格的にどうしても好きになれないこともあります。それぞれの好みや価値観の相違から集団生活ではぶつかり合いは避けられません。
そのぶつかり合いから生じる様々な葛藤によって情緒的に激しく揺さぶられて苦悩に耐えかねている人もたくさんいるはずです。そのような状態にある人は only one などという楽観的な存在ではなくて lonely one となって苦しんでいるはずです。
こうしたケースは No.1 とか only one とかいういわば見方の問題として片付けるのではなくて非常に重い事実として受け止めて寄り添ってあげることが大切ではないでしょうか。この歌にはこのあたりへの確かな認識が欠けているように私には思われてなりません。SMAP ファンのみなさん、ゴメンナサイ。