テレビの北朝鮮報道である解説者が北朝鮮は非常識であると言っておりましたが、北朝鮮が核保有国になるために着々と定石を踏んでコマを進めていることは非常識ではなくて常識です。そのことをここで説明します。
第二次世界大戦後に核保有はアメリカ、ロシア、イギリス、フランスそして中国に限定されていて、それは核拡散防止条約(1970年3月5日発効)で確認されています。ところが今日では核実験まで実施したインド、パキスタンはもちろんのことイスラエルも北朝鮮ほど露骨ではありませんが事実上の核保有国とみなされています。
現時点で190カ国が参加する核拡散防止条約の神輿をどんなに威勢よく担いでみても、国際情勢の変化から核兵器の誘惑に駆られて核武装に走る国が出てくるのを防ぐ方法は事実上ありません。その理由は核保有国と非核保有国が置かれる戦略上の力のアンバランスを清算できる合理的な方法は、今のところ核武装に頼るという非合理しかないからです。
非合理によって合理を制するしか方法がないならば、核保有という挑発的な非常識も北朝鮮にとっては定石通りの常識となります。このように非常識が常識にひっくり返る現実が存在する限りはこの先も第二の北朝鮮が出てきても致し方ありません。
結局は核保有と非核保有の力のアンバランスを合理化するには地球の非核化を進めるしかないという夢物語に辿りついてしまいます。こう考えてくると原発にしろ原爆にしろ人知では整理のつかない怪物が地上に現れてしまったのが悔やまれます。