私にはいつ頃からタレントたちがゴリラのする仕草を真似て両手を叩いて大笑いするようになったのか分かりません。私の記憶を辿ってみても少なくとも20年前はこんなことはなかったと思うのですがどうなんでしょう。私にはあのゴリラ笑いが公衆の面前では下品に思われてならないのです。
私が笑い方にも時には礼儀があると気付いたのはドイツ人のビジネスマンに言われてからです。そのドイツ人はある日本人との取引で不誠実なことをされて通訳する私にその怒りをぶちまけてきました。その時は私にできることと言えば彼の気持を真正面から受け止めて聞いてあげることしかありませんでした。
あいつの笑い方はドレッキヒだと。あの腹の底から吐き出した言葉の抑揚には彼の怒りのすべてが込められていて今でも耳から離れません。ドイツ語のドレッキヒとは「ド汚い」くらいのニュアンスをもった言葉です。紳士的なあのドイツ人がその言葉を使ったことに驚きましたが、もっと驚いたのは笑い方にも時に礼儀があるということに気がついたことです。