私たちの社会では本音と建て前と言う二つの都合が複雑に交錯しております。私はこれらを使い分ける生活は嫌いですので煙たがれる事が度々あります。とにかく現実は私の思うほど簡単にはいきません。
この二重構造の社会は就活にもいろいろな弊害をもたらします。一番の問題は企業でも特に大企業は学生に会社が独自に設定している採用ポリシーをはっきりと伝えられないことです。もしそんなことをバラしたら一斉に非難の声を浴びてしまいかねないからです。
かつてある出版社が縁故関係でしか新入社員を採用しないと真正直に語って話題になりました。私はその出版社の断固たる姿勢に痛く共感を覚えましたが、社会では肯定的には受け取られませんでした。
企業活動は私的なものですから、本来ならば会社独自の採用方針があっても私たちが非難する筋合いのものでもありません。しかし社会の目はそれを許してくれませんから、会社によっては表面的に平等を謳って誰からも志望を受け付けていることもあり得ます。
昔のことですが教え子がある会社に応募したらあなたの大学からは採用しないとはっきり言われたと嘆いていたことを思い出します。その言葉は一見とても残酷な印象を与えますが、実際には志望者に時間を浪費させない老婆心からのものとも解釈できます。
企業の採用試験では本音と建前の交錯するいわば騙し合いの部分もあるはずですから、ただでさえ足らない就活時間を無駄にしないためにも、ある程度は企業の本音を慮って活動することも大切であろうと思います。