低所得者用の家賃2~3万円の脱法ハウスが消防法上などの理由で問題になっています。私も学生時代にはいわば脱法ハウスみたいな建物に住んだことがあります。それが日雇い土木作業者が共同で寝泊まりする飯場です。
飯場の広さは全体としては脱法ハウスほど狭くはありません。ただまったくプライベート空間はありませんでした。2階の20畳くらいの部屋に10人近くの人間がゴロ寝状態で共同生活します。もちろん1階は主に道具や材料置き場であり台所やトイレもあります。お風呂は銭湯です。しかし、どう思い返してみてもその環境が特に苦痛であった記憶がありません。
どうも脱法ハウスの問題は時代性が生んだいわば現代の縮図みたいなものなのでしょう。個室を与えられて育った現代人はプライベート空間なくしては生きられず、インターネットカフェのようにどんなに狭くても、壁に囲まれたひとりだけの空間が必要なのかも知れません。
私たちがもう少しおおらかな共同生活を受け入れられるようになれば、必要悪の脱法ハウスの生活環境も少しは改善できて合法化する道も開けてくるのではないでしょうか。