日本経済は好況感なき小康状態にあります。総選挙公示後の株式市場は年金資金と日銀の買い支えで日経平均株価2万円超を維持していて表向きには総理が言うように良好です。でも日本経済には危険な症状がいくつかあります。
先ずは政府の意向のもとで年金資金が株式市場に大量に資金を投入し、また日銀も上場投資信託を購入して積極的に株式市場に介入していますから、日経平均は18000円を下回る気配はありません。企業業績や配当性向などお構いなしのいわゆる公的資金の株式市場への強制注入は自作自演の危うさがあります。
次に世の中に出回っているお金の量です。日銀は毎年80兆円もの札束を印刷発行していますから、とうとう総額ではドル札(380兆円)よりも円札(450兆円)の方が多くなってしまいました。日本のGDPはアメリカの21兆ドルの1/4の5.8兆ドルなのに、出回るお札の量は日本の方が多いのですから異常です。
また日本政府の金の保有量は先進国最下位のイギリスの手前です。アメリカは2541t/億人、ドイツは4164t/億人、イタリア4085t/億人 、フランス3804t/億人で日本は602t/億人でトルコの611t/億人と同じです。スイスは何と12,518t/億人です。中国は年産450tで世界一の産出国です。日本の経済の息切れがこんなところからも聞こえてきそうです。
日本は対外債権と対外債務の差が360兆円の黒字で世界一の金持ち国だといいますが、これは本当は金持ち度とはまったく無関係です。この中には円安誘導のために購入したドルを米国債で運用する約140兆円も含まれていて、これは特別会計でドル買い用の国債を発行して得たお金が原資ですから本当の資産とはいえません。
その上に残りの230兆円は日本を逃げ出した民間資本がほとんどでしょうから、そうなると日本に戻して政府の借金の返済に充当することはできませんし、このお金は日本にはきっと永久に戻ってこないでしょう。こうしてみると日本の富はどこにあるのか分かりませんが、普通に考えられるのは国有財産+税収です。
しかし、日本の国有財産で現金を生んでいる財産はほとんどありません。例えば高速道路も国有財産ですが、その上がりは道路公団が食いつぶしてしまっています。また霞が関を福島県に移転して跡地を売却しても利益は30兆円も出ないでしょう。結局は国債の担保になるのは国民が稼いだお金から取った税金50兆円しかないというのが現実です。
どうか選挙前によく考えて投票してください。